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くすのき法律事務所
弁護士小野郁美(兵庫県弁護士会所属)

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産科の裁判例:陣痛促進剤、帝王切開の遅れ、脳性麻痺

広島地方裁判所福山支部平成28年8月3日判決

キーワード:陣痛促進剤、帝王切開の遅れ、脳性麻痺

【事案の概要】

 低酸素虚血性脳症を原因とする脳性麻痺を発症した子とその両親らが、医療機関に対し、①陣痛促進剤を慎重に投与しなかった過失、②胎児の状態を改善し、急速遂娩(※できる限り早くお産を遂げること)を実施しなかった過失を主張した。

【判決の骨子】

 医療機関は、使用上の注意事項に記載された初期投与量及び増量時の点滴速度に違反して、陣痛促進剤を投与した。

(実際は午前8時03分に自然分娩しているが)遅くとも午前4時46分ころまでには急速遂娩(帝王切開)の準備に着手すべきであり、午前5時29分には速やかに緊急帝王切開を実施すべきであった。

 子は遅くとも午前4時46分ころには、胎児機能不全に陥り、低酸素状体にさらされていた。少なくとも出生まで約3時間20分もの長時間にわたり低酸素状体にさらされ、その結果HIEとなり、新生児仮死の状態で出生したものである。脳性麻痺について、出生以前の胎生期に原因があるとは認められない。

【備考】

 請求総額 1億5251万余のうち、金1億4201万円余の支払義務を認めた。

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